第47回(3月2日)クラスの復習

■Juana y José

・スリーコードバージョンでのスピードを抑えての通し。

・Variación1のパターンをどこに入れるべきかという質問が出ていましたが、実際どこへでも、フィーリングで入れられるものです。しかし、学習段階では、どこに入れると決めてみるのも一つのやり方です。そこで、以下のように、前半がVariación1で後半がBase2という2小節のかたまりを作って、それを始終繰り返すということを提案しました。

0302_1

・その際、後半の頭のチャスキードを抜くのも効果的です。後半でコードが変わるときは、↓のところで変えるのも一種のシンコペーションになり面白くなります。

0302_2

 

■iVamos a cantar Juana y José a la fuerza!

・メレンゲのリズムのはまり方に馴染むためにも、積極的に実際に歌ってみることに挑戦するコーナーです。

・この曲のメロディーは、実に多くのメレンゲらしいはまり方を含んでいます。

・歌う際には、教材の3ページ目の注意事項をよく読んでください。

・とくに、子音の多い音節、二つの母音つなげた音節を含む箇所で、字余りになってしまう場合は、まず簡略化してリズムどおり歌えるようにしてください。例えば、TO DAS TUS TRIS TE ZA SY Y Y Y TU PREO CU PA SIONは、TO DA TU TI TA ZA SY Y Y Y TU PO CU PA SONなどとシンプルな音節に変えてみるということです。

・単調な5音の連続として歌えるようになったあとは、手でももを打ちながら歌いましょう。その際、前半の3拍と後半の2拍をよりクリアに区別するためにも、ももの上の膝に近いところで、1(右)、2(左)、3(左)と打ち、足の付け根に近いところで、4(右)、5(左)を打つとよいでしょう。こうして、メレンゲのリズムの中で、5拍を感じられるようになれば、クアトロ伴奏をしながらの弾き語りも近くなります。

 

■メレンゲにおける「ミクロコスモス」

・メレンゲのリズムの捉え方について話しましたが、以下に補足します。

・リズムの最小単位は、小節です。スペイン語では、コンパスcompásと呼ばれます。コンパスという文房具も、同じ幅(いわば周期)を保ちながら、印を打っていくのに使われます。私は、この各小節を、一個のミクロコスモス(小宇宙)と読んでいます。各小節はその中にそのリズム独特の「うねり」を含んでいて、それは短いながら一個のイベントないしドラマです。ですから、その超短編映画が展開する舞台として、小宇宙と呼びたくなったのです。さらにおおげさに、「ミクロコスモス」と。

・ですから、どこだけにアクセントがあるということは、なかなか単純に指定しにくいです。そんな単純な世界ではないわけです。それぞれの音符がそれぞれの特色を備えたアクセント(役割)を背負っていると言えます。また、それらのアクセントは、強弱と高低の要素の混ざり具合によっています。私自身のメレンゲのリズムの経験的な捉え方は、以下のようになります。音符の大きさは強弱を、位置は高低を何となく表わしています。

0302_3

・1と4は、踊るときのステップの位置であり、「根源的」なアクセントです。そして、この1と4のアクセントが、演奏されようとされまいと、演者たちの共通感覚の中にあり、以下のように5つのうちのどれかが、強調(採用)されます。根源的なアクセントに対し、「遊び」のアクセントと呼べるかもしれません。両者が同じになることもあります。

0302_4

・こうして、以下のような典型的なはまり方が生じます。とくに2番目と3番目は、ベースを弾く際の基本パターンとなっています。あたりまえな根源的アクセントは、分かりきっているのであえて抜くというラテン的な感覚があります。

0302_5

・次に際立ったメレンゲのリズムの特色としては、5拍目があげられます。Juana y Joséにおいても、この拍からメロディーの固まりが始まることが多いです。動作をする際に、「いっせーのー」と言って始めることがありますが、この「のー」のような次に起こることへの準備のような感覚が感じられます。レールの頂点まで上りきったジェットコースターがいよいよ落下し始める瞬間のようでもあります。

・また、高低アクセント的に一番高いので、メロディーが5拍目に向かって上がっていく傾向があります。

・5拍目は強弱アクセント的にも強調されて伸びるので、次の小節の頭を食い、小節をまたぐスラー、つまり、シンコペーションを生みます。こうなると2つの小節がつながり、10拍でのミクロコスモスとなります。この感覚を途切れのないクアトロのストロークで表わしたものが、既述のVariación1+Base2とも言えます。とくに矢印のところでコードチェンジするときさらにその傾向があることになります。

0302_6

・これは、無条件にひとつのリズム単位として捉えることも大切ですし、2小節目の頭が抜けようとも、メレンゲの連続する2小節として、普通のこととして感じられることも大事です。Juana y JoséのAメロの4段目のようにシンコペーションが連続すると、この両方の感覚が必要となってきます。以下のリズムを既述のやり方で膝を叩きながら、練習してみましょう。

0302_7

・シンコペーションを受け入れてリズムが1拍分前のめっていることを、気持ちよく感じることと、それでいて、同時に小節の頭がどこか(あるいは、自分が何拍目にいるか)も把握していることが大切です。ですから、膝を叩きながら、シンコペーションを続ける中に、ときどきシンコペーションのないパターンを挿入していつでも頭に戻れるという練習もして下さい。

・Juana y JoséのBメロには、1拍目を抜いてメロディーのが始まる箇所が目立ちます。これもある意味、休符のシンコペーションがあると言えるでしょう。

・このようなメレンゲのリズムの傾向を踏まえた上で、別の言い方をすれば、メロディーの型というものを知りながら、歌に取り組んで下さい。必ずメレンゲの面白さを体感できます!

 

■Corrido de los Pájaros

・スリーコードバージョンでのスピードを抑えての通し。

・譜面の4・5小節目のレピーケを入れた弾き方の確認。(前回報告を参照)

 

■Vals Pica Pica

・この曲についての説明をしていませんでしたが、私としても謎の多い曲です。Carlos Bonnet作曲のベネズエラ風ワルツなのですが、いろいろなタイトルが付いています。ベネズエラでは、La Partida、Vals Pica Pica、または、単にVals Venezolanoと呼ばれています。音源によっては、Detrás de la Sombraというのもあります。

・ベネズエラではそれほど演奏されていない印象があります。Quiero (ないし、Quisiera) ser tu Sombraの名で、作曲者はアルゼンチンのHéctor Quatromanoとして、ギターやチャランゴで楽器演奏されることが大変多い曲です。その際、背景の伴奏は、6/8の要素が強いベネズエラ風のものではなく、3/4のわかりやすい普通のワルツ(ブンチャッチャ)の伴奏になっています。曲名や作曲者が変わって有名になっている訳は私も知りえていません。あまり歌われませんが、Nacha Roldánの歌バージョンは、いかにもアルゼンチンらしい哀愁を帯びていて、なかなかの聴き応えです。

http://www.lavozdigital.es/videos/tus-videos/cadiz/1011927613001-quiero-sombra-nacha-roldan.html

・伴奏パートの通し。
・メロディーを弾く際の右手の注意点を確認しました。基本的には人差し指と中指を交互に使う、アポヤンド奏法 apoyandoです。弾き終わった後にそのままとなりの弦にもたれかかります。つまり2弦をアポヤンドで弾いた後、3弦にもたれかかるのです。ただし、16小節、32小節は、ほかの弦の響きを消さないために、もたれかからず、弾いた指は宙に向かいます。これをアル・アイレ奏法 al aireと呼び、アルペジオの際に使います。

・手首を小指方向に少し曲げ、若干上に突き出すフォームとなります。

・弾く位置は、サウンドホール上か、それより少しゴルペ板寄りです。

・爪は、図のように手の甲から見て左端を斜めまっすぐに切ります。そして黒い点のあたりで爪と肉の両方に弦を当ててとなりの弦方向へ弾きます。そのとき、指の第1関節は弦に負けて甲側に反ってはならず、手のひら側に少し曲がった状態で弾き切らねばなりません。弦がひっかからないように、爪の斜面を滑って弦がうまくそれていくように弾く角度を調節して下さい。こうして、音量があり、腰のある、よく通る音色が得られます。

・弾く方向は、手のひらの中心に向かいます。指は、物を握ろうとする方向と同じ方向に動かすと強い力が得られます。実際に、正確にその方向に動いているわけではないですが、そういう意識で力を入れます。

・親指の左側面(これも斜めに切る)をゴルペ板の上に当てて支えとします。この支えは、人差し指と中指の交互弾弦が弦を移動するのと合わせて、いっしょに上下します。つまり、人差し指と親指の間隔を一定に保ちます。こうして、どの弦でも安定したアポヤンドができます。

・弾き終わった指も支えとして役立ちます。一本の指が弾き終わり、となりの弦にしっかりもたれかかります。これを支えとし、他方の指にしっかり力を入れることができます。弾かれるや否や、最初の指はもたれかかった弦を離れ、次の弾弦の準備に入ります。

・クアトロのボディーに載せる肘の位置は、メロディー弾きやアルペジオのときは、かき鳴らすときよりも、内・上側よりになります。手首を小指側に折るために、前腕部がネック方向に引き寄せられるからです。

・左手についての注意点です。この曲の場合、ハイポジションについてはポジション(人差し指がどのフレットを担当するかということ)を限定できず各自自由ですが、Aメロ、Bメロそれぞれの4段目のフレーズは、人差し指・中指・薬指・小指が、それぞれ、1・2・3・4フレットを担当するように弾いてください。このポジションをP.1と呼びます。親指を使って押さえることを推奨していますので、この箇所を弾く間も、親指と人差し指の間の部分が密着してネックを下から支えています。

 

■和音の話:準備編

・今回から、和音についての話をクアトロと結びつけて少しずつしていこうと思います。

・和音は、各コードの構成音を扱いますので、まずなによりも先に、クアトロの指板上の音名が分からなくてはなりません。絶対音感があれば、鳴らしてみて感じる音名をそのまま言えばよいのですが、そうでない人は、何弦の何フレットは何の音ということを覚えなければなりません。当面は、各弦の3フレットまでの音が言えれば十分です。

・まずは、チューニングのときおなじみの解放弦の音を覚えます。4弦から、ラ、レ、ファ#、シです。

・次に、ピアノの鍵盤を思い出し、ミとファ、シとドの間以外は、半音があることを思い出して、例えば、解放弦の音がラである4弦は、2フレットが「シ」、3フレットが「ド」などと、数えるように各弦の音名を知っていきます。

・次に数えることなく、3弦の2フレットは無条件に「ミ」などのように言えるようにして下さい。

・それとは別に、コード名と音名を結びつけるために、音名をドレミファとアルファベットの両方で言えるようにしましょう。音名の対応については、「和音について」の教材の表を参照して下さい。
・次にどのコードでもいいですから、押さえている4つの音を列挙しましょう。例えば、Aコードなら、ラ・ミ・ラ・ド#といったようにです。そして、だぶった音を省き、低い音から順番に並べれば、ラ・ド#・ミがAコードの構成音と分かります。このラを一番低い音として並べ変える作業に、すでに、「A」=「ラ」という知識が働いています。ちなみにスペイン語では、Laは、Aコードのことも、ラという単音も指します

・ほかのコードでもこの作業をしてみてください。そして、その次は、その作業なしに、Aコードは無条件に、ラ・ド#・ミからなると知っている段階に向かえるよう覚えて下さい。つまり、最初は数えますが、判明したら、それを記憶していきます。忘れたら、また数えて気が付いて下さい。