第44回(12月22日)クラスの復習

■エル・パストルシート El Pastorcitoの復習

・Café y Librosでの講座が始まって、最初に取り上げた曲の復習です。
・ベネズエラ伝統音楽の中では、東部のホローポ Joropo Orientalに属します。この地方のホローポの特徴は、メロディーの決まったテーマが2~3回繰り返されたあと、4小節の循環コードの長い即興演奏部分に入っていくということです。その即興部分には、Golpe de Arpa(トレス:3/4のホローポ)とEstribillo(セイス:6/8のホローポ)とがあり、決まったテーマの後に、Golpe de Arpa → Estribilloと進みますが、どちらか一方だけに進む場合もあります。このEl Pastorcitoは、テーマの後、Golpe de Arpaだけで終わっています。
・作者は、Juancito Silvaという東部のマンドリンの巨匠です。東部ではマンドリンは、バンドリンbandolínと呼ばれており、彼は、Bandolín de Oro(黄金のバンドリン)の称号を持っています。
・まず、そのJuancito Silvaの楽団がこの曲を演奏する中、村人たちがペアで踊るフィエスタの光景をビデオで見ていただきました。
・同じ循環コードを繰り返す伴奏者にとって、延々と続く感のあるGolpe de Arpaは、わりにいきなり終わる感じがあるので、マンドリン奏者をちゃんと見ていて、目配せなり、何なりの合図に気づいて、いっしょに終われるようにしなければなりません。
・今回は、Bメロの終わりのDコードがGolpe de Arpaの頭になっていることや、曲の締めなどきちんとできて、今回が初めて取り組む人もありながら、みなさんの上達を感じました。
・Golpe de Arpaは、D→G→A7→A7がずっと続くので、右手なり、左手なりで、ときどき変化を加えると面白さが増します。今回は、A7コードのミドルポジションに限って紹介しました。フレットは、4弦から4535です。前にもでてきたG7を2フレット分並行移動したものです。たとえばそれを、ひとつめのA7に適用し、2つ目のA7はいつもの0212にするという具合です。右手は、ときどき、2拍目を16分音符にしたものをはさめるといいですね。

■メレンゲの弾き方:右手

・5/8拍子とされるメレンゲのリズムはおおまかに言って2種類あります。
・本当に5/8拍子で、ニュアンスはありながも、5つの8分音符が均等に並ぶものと、2拍子で、最初の拍が三連符で、2拍目が8分音符2つのものです。

・クラスでは前者を扱いますが、まず5つの音符を均等に弾くために、2小節をつなげて、10個の音符にし、5回のアップダウン(ダウンアップ)をします。これを太鼓によるメレンゲのリズムに合わせました。

・次にチャスキードが入れられる人は、同様に以下を練習して下さい。これは、2小節目のチャスキードの向きが逆になるのでけっこう難しいです。

・メレンゲの右手の弾き方の基本としては、教材 Variaciones para MerengueのBase 2に決めることにします。私自身は、以前Base 1が中心でしたが、バリエーションと組み合わせる場合には、Base 2の方が便利です。
・ポイントは、5つ目の音符をダウンで弾いた後に、次の小節の1つ目の音符をまたダウンで弾かねばなりません。これがスムーズにいかずに、次の最初の音符が遅れてリズムが乱れる傾向があります。あまりリズムが乱れるとそれが癖になるので、上述の5回ダウンアップの練習をして本来どうであるべきかに立ち戻って下さい。
・この2回ダウンが続くところをスムーズにするコツは、5つ目の音符は、4弦と3弦を中心に弾き、あまり持ち上げずに、すぐ降ろし、2弦と1弦をチャスキードするという弾き方です。2本の弦しか弾かないのでチャスキード自体もきれいな済んだ音になります。
・次にメレンゲのノリを、しっかり会得するのによい弾き方として、教材 Variaciones para MerengueのVariación 1に取り組みました。最後の音符が16分音符2つに分かれます。ここを軽妙に弾くことが、メレンゲらしさを醸し出します。前述のコツと同じで、ここは、必ずしも4本の弦を弾かず、4・3(・2)弦だけ弾けば十分です。そして、それをリストと前腕の回転を使った弾き方で、軽いニュアンスで弾くことが大事です。
・これに慣れてくると、5拍目がリズムの最初に感じられてくるかもしれません。そうなれば、かなりリズミカルになっていると言えます。そう感じる感覚も大事ですが、小節どおりに5拍目と感じられることも大事で、頭の中で捉え方の切り替えが自由でないといけません。

■新曲フアナ・イ・ホセ Juana y José

・プチ発表会もあって、久しぶりの新曲ですが、今回はイントロに留まりました。
・イントロのG→D→A7→Dは、キーがDで、4度→1度→5度(セブンス)→1度の典型的なコード進行です。
・Base 2の弾き方で練習したあと、Variación 1を混ぜて弾いてみました。
・コードの流れをスムーズにするために、Gに戻るときにDのあとにD7をはさみました。Dが3拍分、D7が2拍分となります。
・次に、Base 2でありながら、1拍目をチャスキードせずに弾くことを練習しました。すべての小節において、2箇所かならずチャスキードしなければならないことはありません。むしろあまりしない方が、オシャレとさえ言えます。これは、ほぼ必ずチャスキードするホローポなどとの違いです。とくにVariación 1の後など、チャスキードしても緊張感がありますが、しないと流れがスムーズな感じがします。一方4拍目のチャスキードは、省かれる割合が少ないです。

■知識コーナー:ラ・ビキーナ La Bikina
・今回は、メキシコの有名な曲、La Bikinaを扱いました。ベネズエラでは、グアルベルト・イバレートGualberto Ibarretoが歌ったり、オンダ・ヌエバOnda Nueva(ホローポとボサノバの融合のリズム)のリズムなどでたびたび演奏され、ベネズエラの曲だと勘違いさえされています。メキシコには、ベネズエラ音楽と非常に似た雰囲気の音楽が存在しています。とくにビウエラ vihuelaという楽器では、ホローポとそっくりなリズムを奏でます。この曲も、簡単にホローポ化することができたわけです。
・作者Rubén Fuentesの息子が、あるとき浜辺のビキニ姿の女性たちを見て、bikinas(ビキニ族?)と呼べばよいと言ったのがきっかけであるとか、メキシコのラ・ビキーナ伝説がもとになっているなどの説があります。詳細は、スペイン語ですが、以下のリンクを参照して下さい。
You Tube紹介映像
・グラミー賞を10度も獲得した、メキシコのみならずラテンアメリカを代表する歌手、ルイス・ミゲルLuis Miguelが専属のマリアッチを従えて歌う勇壮なバージョン。
・いかにも東部の粋な男を醸し出す、グアルベルト・イバレートGualberto Ibarretoのバージョン。
(音源と静止画だけですが、関連動画には、歌っているシーンもあります。)
・2人の実力若手クアトロ奏者、カルロス・カパチョCarlos Capachoとヘンリー・リナーレスHenry Linaresによる、ラ・ビキーナの変奏バトル(?)。この曲のコード進行を循環コードのように捉え、ジャズの即興のようにソロを回しています。
その後、セレステのバージョンを、非常にゆっくりなスピードと通常のスピードで披露しました。